加圧注入木材(CCA木材)

戦後、高度成長期、旺盛な需要に応えるべく、多くの住宅が建築されました。
これらの住宅は日本古来の建築様式ではなく、耐震性の強い建築基準法に準拠した建築工法でした。具体的には布基礎を用いた住宅で、湿気の多い日本おいて、土台用木材はシロアリや腐朽に耐えうることが第一条件でした。

加圧注入木材(CCA木材)は、ツー・バイ・フォー工法と共に戦後アメリカから技術輸入されました。加圧注入とは、木材を注入釜に入れ、圧力を高くすることで、薬剤を木材内部に浸透させ、シロアリや腐朽に強い木材に仕上げる技術です。
CCAとは、クロム(Cr)、銅(Cu)ヒ素(As)の略で、これらを加圧注入した木材は、シロアリや腐朽に大変強く、土台用木材しては非常に適していました。クロムやヒ素は有害薬剤でしたが、木材との結合性が非常に高く、たとえ人が口にしても体内で有害物質が染み出ることはなく、便と共に排出されるだけだと、当時は言われていました。
しかし、焼却すると灰の中にこれら有害物質が残り、灰の修理方法を誤ると深刻な環境汚染を引き起こすことが指摘されるようになり、現在では、環境負荷の少ない薬剤(DDAC系、銅系)などに転換されています。

加圧注入釜

加圧注入釜

ハードウッドと地球環境

CCA木材の危険性が騒がれ始めると同時期に登場したのが、レッドウッドやレッドシダ-など北米産の高耐久木材でした。
特にレッドウッドの耐久性は優れたものでしたが、木材に含むタンニン成分が釘の鉄成分と反応して、雨などで流れ出て黒い筋状の模様が表れるようになり、次第に使われなくなりました。

CCA木材の危険性が騒がれ始めると同時期に登場したのが、レッドウッドやレッドシダ-など北米産の高耐久木材でした。
現在、ウッドデッキ用の木材として、イペ、バツー、ウリンなどハードウッドと呼ばれる非常に密度・比重が高く、硬い(ハード)木材が人気となっています。これらのハードウッドはシロアリ、腐朽に大変強く、変形も少なく、節も少ないのが特徴で、ウッドデッキとして施工すると大変すばらしいものになります。多少、価格が高いのが難点ですが、その分長持ちするのが何より魅力となっています。

イペ材_平板

ハードウッドの例 イペ材

これらハードウッドの原産地は、東南アジア、アフリカ、南アメリカなどです。これらの国々は概して貧しく、伐採をした後、植林をするといった感覚はまったくなく、伐採した森は荒地として放置され、さらに森深く伐採をし続けるといったことを繰り返しています。これが、焼畑農業などと共に、森林破壊の一因となっています。ハードウッドへの極端な依存は、地球環境に悪影響を及ぼしてしまうのです。

当社は決してハードウッドを否定するものではありません。実際、多くのハードウッドを使ったウッドデッキを施工し、お客様にご満足いただいております。しかしながら、これらの実態も認識しており、このジレンマを解決する良い方法はないかと日夜、研究開発を継続しています。

サスティナブルな木材資源、国内産の杉

樹木は年毎に成長するので資源は無尽蔵と考えられがちですが、成長量以上に過剰伐採すれば、資源は枯渇してしまいます。前述したように、熱帯雨林では年間3%もの森林面積が失われるという事態が生じています。したがってこれからの木材利用は持続的な資源管理がなされた森林の利用でなければなりません。

杉の森

この点、日本の森林、とくに人工林は「伐ったら植える」を原則に持続的(サスティナブル)な管理がされています。いまや国内の人工林では、杉が大きく成長して伐採期に達しています。

日本の森を守るため、山村の人たちの暮らしを守るため、熱帯雨林の森林破壊を抑えるため、杉の利用が求められています。

古来、様々なところで利用されてきた銅の釘

現在、当社が注目しているのが、銅の抗菌性です。日本では古来、様々なところで銅の釘が利用されてきました。その理由は、銅の高い抗菌性が、広く認知されていたからです。

離宮八幡宮の木塀1

上の写真は京都府にある離宮八幡宮の木塀です。
こちらの木塀には、銅の釘が使用されています。

離宮八幡宮の木塀2

降雨時に銅イオンが溶け出した範囲には、黒カビによる劣化が発生していません。銅の釘周辺は、もとの木材色を保持しています。

離宮八幡宮の木塀

上の写真は、日光山、輪王寺の木塀です。
銅の釘周辺は、黒カビが発生しないばかりでなく、緑藻類も発生していません。

銅の抗菌性をウッドデッキに適用できないか

多くの消費者が持つ銅のイメージは、決して良いものではありません。
しかし、近年では、銅は抗菌性が高く、安全性にも優れていることが再認識されるようになってきました。
また、銅の釘では、やわらかすぎてウッドデッキに使用するには十分な強度が得られないことから、銅メッキされたビスを使った施工を開発しました。

銅メッキされたビス

社団法人日本銅センター http://www.jcda.or.jp/
銅の安全性については、こちらのHPをご覧ください。

通常、木材は木ビスを使用した箇所から腐朽菌が木材内部に浸透して腐朽が進行します。
また、床材と根太材の接する部分は、日があたらず、常にじめじめして腐朽菌が繁殖しやすい環境になっています。
銅メッキされたビスを使うと、雨が降って木材が湿潤になった時に銅イオンがわずかに溶け出して抗菌作用を発揮し、木材の腐朽を抑えることができます。

通常のビスの場合

加圧注入木材の場合、薬剤で保護されているのは表層部のみで、それより内部は保護されていません。

銅メッキされたビスの場合

銅メッキされたビスを使うと、雨が降って木材が湿潤になった時に銅イオンがわずかに溶け出して抗菌作用を発揮し、木材の腐朽を抑えることができます。

日本国内の林業は、間伐もままならないほど、疲弊しています。

「国内産の杉に安全な銅系防腐剤を加圧注入し、さらに銅メッキされたビスを使って施工する。」これによって、お客様にはできるだけ安価に、耐久性の高いウッドデッキをご提供し、日本国内の林業を復活させ、発展途上国の森林破壊を抑制することができるのではないだろうか。私どもはそのように考えました。

抗菌木材「長持ち1番!」

そこで、当社が独自開発したのが、抗菌木材「長持ち1番!」です。
単に材料の開発だけでなく、施工方法にまで踏み込んで、いかにリーズナブルな価格でウッドデッキを長持ちさせるか。当社の強い思いを、この商品に具現化しました。

抗菌木材「長持ち1番!」
抗菌処理を施したウッドデッキの詳細は、こちらのページをご覧ください。
抗菌木材のご紹介
銅系の加圧式保存処理木材について、製造工程などをご紹介しています。
抗菌木材「長持ち1番!」